【神様のカルテ2】を読む
医師は患者を優先すべきか、それとも家族を優先すべきか
無論我々患者になりうる立場か考えれば前者なのが当然であろうと、そして当然であってほしい。
【24時間365日】
建前だけは立派な理想論。現実は不眠不休で働く医師。たとえ休日であっても患者の容態が悪くなれば容赦のない呼び出し。スーパーマンのようにそつなくこなす医師が良い医師だと評し、 何かあったら医療ミスやヤブ医者だと批する世。
現実は医師だけではなく医師の家族たちの理解があるからこそ成り立つ世界。そんな現実をせつに訴えかける今作。
医師の話ではない。人間の話をしているのだ。
帯の言葉が訴えかけてくる。
かくて一止の大学の同期が、本庄病院に勤務することに。
その朋友とも呼べる同期が、医学部の良心とも呼ばれた友がらしくない似ても似つかない院内トラブルを、、、
大学時代とは変わってしまった朋友 大学時代とは変わらない一止
だが一止と交わすうちに徐々に過去を取り戻す朋友。この過程で神様のカルテで名脇役のコーヒーが活躍する。
信州の自然の美しさ、淡々と出てくる文章の妙など落ち着いて楽しめる作だが、珍しくもドラマのように感情が激しくなる場面だ。
久しぶりに再会した友がすっかり変わっていた時、人は時の流れという得体の知れない化け物の存在を実感する。 もちろん実感したところで 何かできることがあるわけではなく ただ寂然として、缶コーヒーを飲み干すだけである。
前作に続き今作も信州の自然の美しさ、
アルプスの荒々しい稜線、
美ヶ原の描写から始まる今物語は、地図を片手に旅行記風にも楽しめる。
アルプスの各名峰を、そして信州を訪れてみたくもなるのだ。